バイオ燃料について・(バイオディーゼル)
B24、B30(FAME混合バイオ燃料)について
(植物油、動物油のトリグリセリド(TG)(要するに脂肪)+メタノールより精製される物)
概要:
・定義:「B24」はFAME(脂肪酸メチルエステル)24%をVLSFOやMGOに混合した船用バイオブレンド燃料。
K LINEの実証では“24% FAME + VLSFO”と明記。NYKの事例も同様
・普及状況:主要バンカリング拠点ではシンガポールの主流がB24、ロッテルダムはB30が主流という最新分析。2024年までに両港合計でバイオブレンド販売は150万t超に拡大
期待効果(GHG・コスト)
・GHG削減:FAME自体はWtoWで約80–90%のGHG削減ポテンシャル(原料持続可能性が前提)。したがってB24全体のWtoW削減は概算で15–20%程度(エネルギー比での加重)と見込める
・価格感:B24/B30はVLSFO比で+30〜60%のプレミアムが一般的(2023年以降の市場観測)
規格・品質(ISO 8217:2024)
・2024版では新たなDF系グレード(DFA/DFZ/DFB等)が整備され、FAME含有率の「報告(Report)」義務やLCV(正味発熱量)、CP/CFPPの報告が規定(表1・表3)
購入時にFAME%(体積/質量の別も)がBLNに記載
・CIMAC指針も、PP/CFPP/CPの評価と**EN 15751(酸化安定性)**の適用(FAME>2%含有の留分系)を推奨
エンジン適合・法規
・MAN二ストロークの受入れ:MANはFAME/HVOおよびそれらのブレンドの使用をガイダンス付きで受け入れ。LCV低下や粘度に応じた運転管理を推奨
・NOx再認証:MEPC.1/Circ.795の統一解釈により、NOxクリティカル部・設定を変更しない限り、バイオ燃料使用で追加のNOx実測は不要。MAN SLにも明記。SCR使用時は尿素消費の微増可能性あり
・CII/EU対応:PoS(ISCC/RSB等)でWtoW GHG値が証明されたバイオ燃料は、エネルギー加重平均でCfに反映(IMOの暫定ガイダンス)
技術的な性状のポイント
・発熱量:FAMEは約37
MJ/kg、MGOは約42–43 MJ/kg。同量混焼でも実効エネルギーは小さめ→SFOCはわずかに増加
B100で最大+13%程度の燃料量が必要になり得るため、B24では数%増を見込む設計が無難
・コールドフロー:PP/CFPP/CP管理が重要(特に留分系・非加熱系)。航路の最低気温に合わせた仕様
・酸化安定性・貯蔵:FAMEは酸化/重合しやすいため、水分管理(ドレン)・過加熱回避・6か月超保管なら再検を推奨。必要に応じ酸化防止剤活用
・材質適合:フッ素ゴム(Viton/FKM)、PTFEは一般に良好。天然ゴム、ニトリル、ネオプレン、特定プラスチックは劣化リスクがあるため要確認。初回導入時はガスケット/塗装/コーティングまで含めて点検
・分離/ろ過:初期はフィルター目詰まり増が起きやすい(溶解清浄作用)。予備フィルタ/エレメント増備、セパレータ設定の見直し(重力ディスクや界面制御)が推奨
・LCVの測定:ISO式の計算値はFAME混合に不適切な場合があり、ASTM D240で実測するのがベスト
供給・実証(日本含む)
・日本:
:横浜でB24(VLSFOブレンド)400tの実証(供給:三菱商事エナジー)
:豊田通商は名古屋港等で継続供給や試験供給を展開。国内回収の廃食油由来をブレンド
:シンガポール:B24がもっとも一般的なブレンド
調達・運用チェックリスト(実務用)
・規格指定:ISO 8217:2024(DF系)で発注し、FAME%(体積/質量)、LCV(ASTM D240)、PP/CFPP/CPの報告を購入条件に
・持続可能性書類:PoS(ISCC/RSB等)をBLNとセットで取得(CII/ETS/FuelEU対応)
・エンジン/OEM確認:NOxテクニカルファイルの設定を変更しない(変更が必要なら再評価)SCRは尿素微増を想定
・初回切替:タンク清掃・残油最小化、混合(来歴不明バッチの込み合い)回避、フィルタ/スぺア増備
・保管/品質管理:ドレン排出・水分監視、酸化安定性(EN 15751)、長期保管は再検、必要に応じ酸化防止剤
・寒冷対策:航路に合わせCFPP/PPマージン確保(特にMGO系B24)